就活・転職面接におけるマスクの常識(2023年版)

この記事を書いている2023年1月現在、社会人でも大学生でも、会社や取引先、大学などでマスクを着用している人がほとんどだと思います。現在の日本では、外出時や他者との対面時にマスクを着用するのは常識であるといえるでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから今日までの間、マスク着用については様々な意見が出されましたが、現実には多くの国民が、特に人が集まる場所、対面するような場所ではマスクを着用しています。

そこで今日は、就活や転職活動時におけるマスクの着用について、改めて整理しておき、このような細かいことで煩わしい想いをすることがないようにしたいと思います。細かいことよりも、しっかり回答することに力を割きたいですよね。

面接ではマスクを着用するのが現在の常識

新型コロナウイルス流行前にも、花粉症対策やインフルエンザ予防などでマスクを着用している人はいましたが、大多数というわけではなく、また面接のような改まった場面ではマスクを外すのがマナーであるとされていました。

しかし、日本国内で新型コロナウイルス感染が確認された2020年以降、感染予防としてマスクの着用が推奨されるようになりました。これによって、就活や転職活動における採用説明会や面接選考においても、マスクを着用することが原則となり、常識化したものと考えられます。2020年1月時点で、本ブログでもマスク着用について記事をアップしました(参照過去記事 : 面接でマスクを着用したままはダメ? ~ 新型コロナウイルスの感染予防と関連して~ )が、その状況はほとんど変わっていません。

ただ、マスク着用を避けたいと考える人も一部いたり、政府からマスク着用について新しい指針が出されるという情報(2023年1月現在)もあるなど、多少の混乱はあります。本稿ではマスク着用の感染予防効果についての科学的情報について踏み込む余裕はありませんが、就活や転職活動において大切なことは、基本的に「常識的」に振る舞うことです 1 。したがって、日本社会の状況を観察すると、現時点では、少なくとも他者との対面時にマスクを着用することは常識であると言い切って良いと思います。

マスク着用について事前の確認は必要か

ほとんどの企業では、対面面接実施前の連絡時にマスク着用についての連絡をしています。会社来訪時にはマスクを着用するように求め、また面接時もマスク着用するように指示しているのが通常です。

マスクの着用について特別な指示がない場合、不安に感じる人もいるでしょうし、ネットの情報などでは事前にメールなどで確認するようにアドバイスがなされています。しかし、私見では、事前の確認なしにマスクを着用して行くべきだと考えます。現在では、新型コロナウイルスの感染を警戒するのは、自分だけでなく他者や他者の家族などを守るために必須のことであり、経済活動の継続にとっても必要不可欠なこととなっています。そのような中で、自分の頭でしっかり考えれば、マスクは着用していくべきということは自明でしょう。そのような自明のことを問い合わせることは、人事にマイナスの印象を与えるリスクがあると思います。

当日のマスク着脱については会社の指示に従う

ただし、面接当日にマスクの着脱について会社側から指示がある場合があります。たとえば「入室して一旦マスクを外して氏名を名乗り、その後マスクを着用して着席してください」というような指示です。あるいは、「面接官と応募者の席は十分な距離を取っているため、面接中はマスクを外してください」という指示がある場合もあるでしょう。

普通、企業側がマスクを外す指示をするのは、マスクを外しても感染防止に差し障りがない状況に限られていると思います。したがって、このような指示にはそのまま従えば良いと思います 2

どんなマスクを着用すべきか

マスク着用が常識化した中で、日常的には様々なバリエーションのマスクを着用していることも多くなっています。しかし、面接におけるマスク選択の基準は、①目立たないこと、②感染予防効果があること、この2点だと思います。

就活、転職活動においては、他者と自分との差別化を図る必要がありますが、それはあくまでも人材価値としての差別化です。見た目で差をつけようとすると、面接官はその見た目にばかり注目してしまい、肝心の人材評価についてマイナスの影響を及ぼす可能性があります。「見た目では目立たず、中身で目立つ」のが有利に選考を進める基本です。したがって、①目立たないこと、というのは重要です。

次に、マスクをしていても感染予防効果が低いものを着用しているような場合、科学的な根拠に無頓着な人だという印象を与えます。もっといえば、「理性的でない人」という印象を持たれます感染防護に一定以上役立つことが明らかであるものを着用したいという点で、②感染予防効果があること、というのも必要な要件です。

マスクの色

無地の白を推奨します。マスクとして最も普及している色であり目立たないからです。

色付きのものや柄物は、面接官によっては面接にふさわしくないと考える人もいるでしょう。面接後「ああ、あの黒マスクの人ね」というように、見た目の特徴で呼ばれることはあまり好ましくありません。「○○のエピソードの人ね」というように中身で他の人と区別されることが大事です。

マスクの素材

たとえば布製のマスクやポリウレタン製のマスクよりも不織布製のマスクの方が感染防護に効果的であることは各種の実験から明らかになっています。ファッション性やその他の理由などからポリウレタン製マスクを着用したい人もいるでしょうが、あまり推奨はできません。不織布がおすすめです。

マスクの形状

平面のものだけでなく、各種の立体形状がありますが、形についてはどれでも良いでしょう。ただし、「見た目で目立たない」という考えからすれば、やはりあまり特異な形状のものは選ばない方が無難です。

マスクの劣化に注意

マスクが汚れていたり、ゴム紐が伸びていたりすると、だらしない印象を与えます。それだけでなく、汚れたマスクを使い続けているという印象は、感染防護に対して無頓着である印象を与え、現在の状況下では「無責任な人」という悪印象にも繋がりかねません。出来る限り新品のマスクを着用することをおすすめします。

正しい着用も大切

マスクは鼻から顎にかけてしっかり覆い、隙間が生じないように顔にフィットさせます。

テレビなどを見ていると、時々政治家やタレントなどがマスクから鼻を出していたり、頻繁にマスクを触ったりしていますが、だらしなく、また不潔にも見えます。正しい着用を心がけましょう。

マスク着用時の表情や話し方について

マスクを着用していると、そもそも顔を良くみることができず、また表情は伝わりにくくなります。また、声も通りにくくなりますね。そこで、マスクを着用していても、表現力が落ちないような工夫が必要です。

目の表情を強調する

マスクを着用していると、口の動きが見えず、表情筋の変化も良く見えません。そのため、面接官はどのような表情で話しているのかを把握するのが難しくなります。口元でニッコリしても、相手には伝わらないのです(全く伝わらないわけではありませんが)。

そこで、目の表情を大きくつけるようにしましょう。ご自身の表情を事前にチェックして、特に笑顔の時に目の表情に変化がないタイプの場合は、意識して目でも笑うようにすると良いでしょう。ただ、目だけ表情をつけるというのは難しいので、マスクで隠れている口元も含めて、顔全体で表情を作るように努め、特に目の表情は意識するという風にするとうまくいくでしょう。

はっきりとした活舌、大きな声

マスクをしていると、声はこもりやすくなり、面接官からは聞き取りにくくなることがあります。私の経験上、これは音量というよりも声の質に大きく影響されるように思いますが、どのようなタイプの人であってもマスクをすることで聞きにくくなることは共通です。

そこで、声のボリュームも少し上げるとともに、普段よりも活舌を良くすることを心がけましょう。口をはっきりと動かしてしっかり声を出すようにしましょう。特に話し終わり(語尾)が曖昧にならないように、はっきり言い切るということは意識した方が良いと思います。

眼鏡がくもらないように

眼鏡をしている人はわかると思いますが、結構大事なときほど眼鏡がくもります。普段はあまりくもらないのに面接で緊張していると眼鏡がくもってしまうことも多いのです。

眼鏡をくもらなくする工夫はいくつかあります 3  が 、一番効果の高いのは眼鏡に曇り止めを塗ることです。ただ、本番中にくもらないとは限らないので、眼鏡拭きの布をポケットにしのばせておくと良いでしょう。くもったままにするよりも、拭いた方が好印象につながります。

髪型にも工夫を

マスクをしている以上、顔がある程度隠れることは致し方ないことです。それを合意の上で面接をしているのですから、面接官が「マスクで顔の表情をうまくつかめなかった」と思ったとしても、それは応募者の責任ではありません。

しかし、同じマスクをしていても、「顔の表情がわかりやすかった」と思ってもらえることはプラスの印象に繋がります。面接官は「よくわからないもの」よりも「わかった(はず)」のものをより良く評価します。そのため、マスクをしていても表情が伝わりやすくなるような工夫も有効です。

例えば、髪が顔を大きく覆っているよりも、ある程度、おでこを見せたりして見えている面積が多い方が、面接官は表情を把握しやすくなり、好印象を持つことにつながります。

マスクは普通の身だしなみの一つ

現在のようにマスク着用が常識化している状況にあっては、有効性があり奇抜でないマスクを正しく着用することは当然の身だしなみの一つであるといえます。また、マスクがなければ伝わるはずの魅力がマスクによって隠されてしまうことがないよう、多少の工夫も必要ですね。

 


  1. たとえば、経営者が熱心な反マスク論者で、面接選考にあたってもマスクに対するスタンスを評価しているような特異な場合に、そのような会社に就職したいと望むような場合は例外です。 
  2. もっとも、感染予防上問題がありそうな指示をされ、ご自身がその指示に従いたくない場合、自分の判断を優先するということもありうるとは思います。 
  3. マスクの上部を内側に折り曲げる方法や、マスクの内側に四つ折りにしたティッシュを添える方法などがあります( 参照:マスクを付けてもメガネが曇らない方法 – 警視庁ホームページ ) 。