面接をあがり症で失敗!と思う前に疑ってみるべきこと

模擬面接のお申込みをいただいた方の中には「あがり症でうまくいかなくて…」とおっしゃる方は比較的多くおられます。面接本番の緊張で本来の自分を表現できなかったと思うのはとても悔しいことでしょう。

本当にあがり症であれば人一倍の準備をしよう

このような方と模擬面接をしてみると、たしかにあがり症なのだろうなと思う方もいます。中には、テレビ電話で顔を合わせているだけ、練習だとわかっていても、質問に対してまったく言葉が出てくなくなるような人もいます。就活や転職活動、公務員試験受験などご自身の未来を左右するような大事な場面で緊張するのは無理もないことですが、極端に緊張が高まり普段の力が半減するような方は、やはりあがり症であることを前提に面接対策を進めていくべきだろうと思います。あがり症の方が面接を突破するためのコツについては、別記事( あがり症の人が面接を突破するための3つのコツ )を一度読んでみてください。あがり症の人が面接を突破するためにすべきことは、メンタル面にフォーカスしていかに緊張しないかを考えることではなく、自信を持って面接に臨める十分な準備をしようということを書いています。

しかし問題は本当にあがり症だということなのか?

本当にあがり症なのだろうなと思う方は確かにいるのですが、実際には、問題はあがり症であることではないのではないかと思うような人の方が多いのが現実です。模擬面接をやってみると、確かに緊張感も伝わってきますし、言葉がたどたどしかったり、うまく答えられない質問があったりはしますが、「答えられない」というほどではないという人がほとんどです。

こういった方は、「ある程度準備はしているのだけど、いざとなるとうまく言葉にならない」とおっしゃることが多い印象です。「うまく言葉にならない」のはあがり症で緊張しているためだと自覚しているのでしょう。

しかし、本当にそうでしょうか。

その回答に自信を持っているのか

たとえば「志望動機を述べてください」とか、「自己PRをしてください」といった就活・転職面接・公務員試験の面接などで共通する典型質問については、あがり症だと思っている人でも何がしかの原稿を持っていてそれを話します。そして、あがり症の方は、原稿の再現度が緊張によって下がってしまうことを心配しています。しかし、本当に回答原稿を完全に再現できれば面接官は採用したいと思うのかどうかを良く考えてみましょう。

率直に言えば、「御社の○○という事業は、社会に対して○○といった貢献をしており、私も御社の一員となって社会に貢献したい」といった当たり障りのない志望動機を用意している方が多いのです。このようないわば誰にでも考えつきそうな、その場で「適当に言ってみて」と言われても言えそうな志望動機を準備していて自信を持って回答できるでしょうか。

一概には言えませんが、私の経験上「あがり症だから…」とおっしゃる方の多くは、ご自身の回答内容に十分な自信を持っていないように思います。上に挙げた例は極端に単純化していますが、これが多少詳しくなって応募企業の事業内容を詳しく挙げたとしても同じです。その内容は「調べればわかる」内容に過ぎず、自分にしか言えない内容ではありません。大切なことは、応募企業の持つ価値と「自分自身を繋げるのは何か」ということです。ここを自分の経験などから深く掘り下げ言葉にしていれば、他の誰も言わない自分だけのオリジナルな回答になります。そうすれば、これを「是非伝えたい」と自然と思えてきます。

面接はペーパーテストとは異なる「正解」のない選考です。どんなに「知識」を披露しても「採用したい」と思うような人材価値の表現にはつながりません。実はそのことを自覚しているから、自分の回答に自信が持てないのではないでしょうか。伝えたいことの「核」が自分の中ではっきりしていないから、緊張していると原稿の内容を端折ってしまうということもありえます。「どうしても伝えたい」「これだけは言っておきたい」ということを持つことがとても大切なことなのです。

「あがり症だから…」と考える前に、回答原稿が本当に伝えたいことになっているのかどうかを見直してみましょう。自分にしか言えないオリジナルな内容なのかどうかという観点でチェックし、そうなるように原稿を改めていきましょう。これは志望動機に限らず、すべての想定質問に関してもやりましょう。この準備をしっかりやっていくと、全体を通して自分が表現すべきポイントがいくつかあることに気づくはずです。たとえばそれが3つあるなら、面接全体の中でこの3つをどこかで話せれば良いのです。そうなれば、回答に対して追加質問が来た場合や、想定していなかった質問が来た時でも、何を答えるべきなのかが自然と出てくるものです。

実際に声に出してシミュレーションを繰り返したか

多くの人は、数名の面接官を前にして回答し続けるような機会をそう何度も体験しているわけではありません。いわば多くの人が初心者です。ですから、あがり症の人であっても、その自覚がない人であっても、多かれ少なかれ面接では緊張します。

もちろん、あがり症だという自覚のない人の場合は、「緊張していてもしっかり話せるはず」という自信を持っている人はいるでしょう。しかし、実際にはそういう人は稀です。ほとんどの人は面接で緊張して実力が発揮できないのではないかと不安に思っているのです。

この不安を払拭するために最も有効なのは「慣れ」です。慣れを作るための最も有効な方法は、面接本番形式でシミュレーションを繰り返すことですが、そこまでできなくても、回答を何度も声に出して話してみるということを繰り返すだけでも慣れは作れます。そして、多くの人が(あがり症だと自覚していない人も含めて)このシミュレーションをしています。あがり症だと自覚しているなら、人一倍の繰り返しをするべきです。考えなくても口から出てくるぐらいまで繰り返せば、どんなに緊張している場面でも何も出てこないということはほぼありません。

ほとんどの人がやっているこの繰り返しを、あがり症だと自覚しているなら人一倍すべきです。厳しい言い方ですが、これをやらないで「あがり症だから…」と考えているなら、それはあがり症だということを理由にして必要な準備を十分にしていないと言えなくもありません。

しっかりとした回答原稿があり、シミュレーションも人一倍繰り返せば、必ず自信がつきます。そうすれば、あがり症なのかどうか自体、重要な問題ではないと思えるようになります。

丸暗記に頼っていないか

きちんとした回答原稿を用意し、声に出してシミュレーションを繰り返すというのは非常に有効ですが、原稿を丸暗記して話すだけでは本番での失敗リスクはそれなりにあります。原稿の文章を丸々再現しようとすると、細かい表現の仕方、言い回しなどで躓いて、先に進めなくなる可能性があるのです。

「自分はあがり症だ」と自覚している人にとっては、丸暗記した原稿を再現しないと自分は話せないのではないかという不安を抱えているため、丸暗記で対応しようとしている人が多くいるのです。しかし、何千字もある回答原稿を、緊張した場面ですべて完全復元するのは難易度が高すぎ、高い失敗のリスクを抱えて本番に臨むことになります

このリスクを大幅に減らす方法は、原稿の中から、要点をキーワードで抜き出し、それを話す順序にそって覚えておくことです。抜き出すキーワードは少なければ少ないほど良いのです。たとえば、3つの文からなる300字程度の原稿であれば、抜き出すキーワードは3つから5つ程度です。どうしても入れ込みたい内容だけを抜粋し、その話す順序だけ覚えて、間の文はその場で埋めていくのです。そうすれば、細かい言い回しではなく「何を伝えたいのか」にフォーカスして回答できるようになってきます。

原稿丸暗記で対応しようとしてきた人にとって、キーワードで押さえていく方法に切り替えるのは勇気がいることかもしれません。しかし、本番で回答の途中でつまってしまいその後うまく話せなくなるのは、丸暗記で対応しようとしているためだという可能性はかなりあります。私の経験上も、ある程度の内容は表現できているのに、細かな表現の部分で躓いてしまい、最後まで回答できなくなる人は非常に多いのです。

面接練習をしている時にこういう場面に出くわすと「あとは言い切れば良いだけなのに!」とよく思います。就活や転職、公務員試験の面接で面接官が聞きたいのは立派な文章や豊かな表現ではありません。中身が伝わりさえすれば良く、細かな表現はある意味どうでも良いのです。しかし丸暗記に頼っていると些細な言い回しまで再現しないといけないと思い込んでしまいがちです。

このような状態から抜け出すために、きちんとした回答原稿を用意し、一度丸暗記して声に出してシミュレーションを繰り返し、その後キーワードを抜き出して覚え、そのキーワードを使ってまたシミュレーションするという作業順序を私はおすすめします。これをやってみれば、原稿丸暗記でなくても、キーワードさえ押さえていれば、意外ときちんと回答ができるということに気づくはずです。このような準備の仕方であれば、想定と違う角度からの質問であったり、回答への突っ込みがあったりしても十分に対応できます。

丸暗記だけに頼ろうとすると、あがり症の人でなくても、本番で頭が真っ白になるということは起こり得るのです。一度丸暗記をしても良いですし、あがり症だと自覚している人は丸暗記した方が安心でしょうが、必ずそこから「抜く」作業、キーワードと話の流れだけを頭に叩き込むプロセスを経るようにしましょう。

あがり症だという思い込みが面接対策を迷走させる可能性もある

あがり症だと自覚している人にとって面接はたまらなく嫌なものです。実際に面接を受けて緊張で失敗したという経験をした人にとっては、そのマイナスイメージから抜け出すのも簡単ではありません。

しかし、「あがり症だから」と思い込むことによって、対策が迷走してしまうということもあるのです。ご自身の面接の本当の問題点から目がそれてしまったり、丸暗記だけに頼るという弊害を負ってしまうこともあります。

経験上、確かにあがり症だなあと思う方はいらっしゃいます。「どうしたらあがらなくなりますか?」と切実な相談をしてくる方もいらっしゃいます。もちろん、「あがり症」と呼ばれるものの中には、あがり症そのものにフォーカスして対応しなければならない場合もあるでしょう。

しかし、面接を突破するという目的の方にフォーカスするなら、私の経験上、あがり症自体を克服する必要はありません。また、あがり症だと自覚している人でも、本当はあがり症ではないのではないかと思う方が多くいます。少し乱暴かもしれませんが、面接突破が目的なのであれば「あがり症なのかどうかは関係ない」と考えた方が結果に繋がると思います。

大切なことは、面接の内容自体に焦点を当てて、万全の対策を取り、自信を持って面接本番に臨むことです。実際、「あがり症だから」とおっしゃっていた方が、「本番では驚くほどうまく話せた」ということは珍しくありません。大切なのは準備、特に中身の準備なのです。

参照: あがり症の人のための面接対策 (あがり症だという自覚のある方に、自信をもって面接に臨めるように万全の準備をする全面サポートをする対策です)