新型コロナで就活の軸を変更した場合どう説明するか。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、就職市場も大きく様変わりを見せつつあります。新型コロナの影響が直撃した旅行・旅客・飲食業界などを中心に新卒採用予定数を大きく減らしたり、採用をストップするような企業もあります。また、これらの業界以外でもやはり新型コロナの直接・間接の影響によって採用意欲が減退している企業も増えてきています。この記事を書いている2020年12月4日現在、まさに新型コロナウイルス流行の第3波の真っ只中といった様相であり、医療崩壊も危惧されている中、外出自粛の要請や営業時間短縮要請などが取りざたされるようになってきています。

これまで新型コロナウイルスの影響があっても、特定の業界以外の採用意欲は堅調であるといった報道も多くみられました。もちろん、そのような業界・企業は存在するでしょうが、万一このまま感染が抑えられないで感染者が増加し続ければ、守りの態勢に転じる企業が多くなることも予想されます。

このような状況下で、就活生は元々希望であった業界への就活を見直している人もいると思います。たとえば、元々航空業界への志望が非常に強かった人が、他の業界への就活に切り替えるなどです。CA(キャビンアテンダント)志望だった人が採用中断により他業界に切り替えるといったことは現実に起きています。

あなたの就活の軸はなんですか。

新卒の面接でよく聞かれる質問に「あなたの就活の軸はなんですか」というものがあります。「軸」ってなに?と思う人もいるかもしれませんが、言い換えるなら概ね「あなたが就職先選定の基準にしていることはどんなことですか」といった趣旨の質問です。

回答は様々ですが、この質問とは別に「他にどのような企業を受けていますか」という質問も定番なので、この質問への回答と矛盾しない一貫性のある回答が求められます。

しかし、「自分の本来の希望の業界が新型コロナで不調のため仕方がなく切り替えた」という人にとっては酷な質問かもしれません。本音では、「本来の志望先であれば、胸を張って堂々と活き活きと回答できていたはずだけど、今は仕方なく就活しているのだ」という気持ちもあるでしょう。また、本当の希望ではないものについて、あたかも前から志望していたかのように回答するのは難しいと感じる人もいるはずです。

さてどうするべきでしょうか…。

自分の希望を抽象化してエッセンスを抜き出す

たとえば、航空業界CAを志望していたが募集がないのでホテルに切り替えた、という人であれば、「快適を提供する」とか「行き届いた完璧なもてなしを体験してもらう」といった部分に共通項を見出すことができる可能性はあります。「○○な点では共通しているな」ということから、第一希望の業界に入りたかった想いを流用できる可能性は高いでしょう。もちろん、本来の志望業界・企業にあって、切り替えた業界・企業にはないものがあるのは確かでしょうが、共通項の方にフォーカスすれば、「なぜその業界・企業なのか」はそれほど無理なく表現できるでしょう。

本音を述べる方法もある

しかし、強く志望している業界・企業があった人からすれば、そのような気持ちの切り替えは難しいところもあるでしょう。それに、自分自身である程度「作り話だよな…」と思う気持ちもあるかもしれません。そのような気持ちを抱えながら「私の就活の軸は○○です!」とはつらつと答えられるひとばかりではないでしょう。

私見ですが、私は本来の第一志望業界について正直に説明しても良いと思います。「強く志望していた業界の採用がなくなったから切り替えざるを得なかった」というのは不可抗力のやむを得ない事情です。いつ採用が増えるかもわからない中、その業界にこだわって就活をするというのは不可能を強いる考え方でしょう。採用側もそのようなことは考えません。

また、必ずしもその企業・業界が第一志望ではなかったとしても、だからといって人材価値が劣るとは言えません。第1志望であろうとなかろうと、企業としてはしっかり職務を果たして定着してくれれば問題ありません。

そう考えると、無理に心にもない「就活の軸」を説明するよりも、「本来これが私の就活の軸だった」「しかし新型コロナの影響でそれは実現不可能だと判断した」「だから切り替えた」といった事情を率直に話した方が、本心からの説明ができて説得力もあるのではないかと思います。

もちろん、単に「いやいやながら応募している」とか、「元来の希望ではないからあまりやる気がでない」という風に見られてはいけません。やむをえない客観的な状況に即して対応を変えたのであれば、その選択をきちんと説明し、前を向いて進んでいることを伝えるべきです。面接用の回答としてではなく、本心でも「がっかりして力が抜けた」のではなく「がっかりはしたけれども、気持ちを切り替えて前に進んでいる」というところに自分をもっていかないと良い結果は得られない可能性が高くなります。それだけでなく、ご自身の気持ちもモヤモヤしたままで消化できず、精神的に辛いままになってしまうかもしれません。

「実は○○業界を目指していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で採用がなくなりました。正直落胆いたしましたが、嘆いていても仕方がないので、自分がやりたかったこと、できることをこの機会にしっかり見つめ直しました。その上で、□□という価値においては、△△の業界も○○と共通であると考えました。私は元々××の理由で□□の価値に重きを置いて就活をするつもりでしたので、現状において、△△の業界で全力を尽くそうと考えるに至りました」

このような回答を聞いて、「元々○○業界を目指していたのに△△業界にするというのはねえ…」といった反応をする面接官はいないでしょうし、就活に新型コロナの直撃を受けてしまった人が、どのように気持ちを切り替えたかについて真剣に耳を傾けてくれる可能性も高いでしょう。

しかも、本心からの回答ですから「嘘っぽさ」もなく、説得力も増すと思います。私見としては、正直に状況を話すというのは決して悪い方法ではないと考えます。

ただし、切り替えた志望先の業界についてきちんと調べておくこと、また、元々志望していた業界との共通点や相違点などをしっかりと整理しておくことなどは大事です。また、業界への自分の適性も良く分析しておくことが大切です。

苦しいけど頑張ろう

これから社会に出ようというタイミングで、新型コロナウイルスの感染拡大という予想もしなかった事態の直撃を受けるというのは不運なことですし、簡単に気持ちの整理はつかないかもしれません。

しかし、将来のことはわからない、というのはこの世の常です。新型コロナの影響は未曽有のものですが、個々人ではどうしようもならない社会的な状況に左右されるといのは、就活に限らないことでもあります。簡単に言えることではないことを承知であえて言えば、この事態に打ちのめされるだけではなく、自ら立ち上がり前向きに取り組むことができるかどうかが未来を左右するのではないかと思います。

新型コロナの影響がいつまで続くのかは現時点では見通しが立ちません。しかし、いつかはこの事態が収まることでしょう。その時には、希望していた業界や企業が大きな復活を遂げる可能性も十分あります。その時に、元々抱いていた希望に再度チャレンジできるかどうかは、「今」への向き合い方にかかっているとも言えます。

苦しいけど、頑張りましょう。