体調不良時に面接に行ってはいけない ~新型コロナウイルス感染拡大下で企業の本質がわかる?~

新型コロナウイルスの感染(COVID-19)拡大が止まりません。2020年4月18日には国内感染者数は1万人を超えました(この数はPCR検査によって陽性判定された数だけであり、検査されていない陽性者の数は不明です1)。特にPCR検査における検査陽性率(PCR検査を行った人のうち陽性になる人の割合)は上昇しており、4月16日までの2週間の平均は、全国で12.9%、東京都では56.1%です。これは、潜在的な感染者が増大していることを示唆しています2

このような状況下では、地域によるとはいえ、「誰が感染していてもおかしくない」という前提で行動するしかありません。だからこそ、全国に緊急事態宣言が出され、苦しい負担の下で多くの国民や事業主が自粛要請に応じている状況です3

注: 今回の記事には、多分に筆者の個人的な意見が含まれています。したがって、あくまで参考として、皆さんが各自で考える材料にして頂ければ幸いです。

体調不良の時にどう行動すべきか

いわゆるソーシャルディスタンスを取れるような行動が国民一人ひとりに求められているわけですが、難しいのは、体調不良の時にどのように行動すべきかです。現時点(2020.4.21現在)では、多少の体調不良程度ではPCR検査によって感染の有無を確かめることができる状況ではありません。地域によって運用状況が異なってきているようですが、最低でも医師が検査必要と判断しない限り検査は行われませんし、場合によっては医師が必要と判断しても検査されない事例が未だにあるとも言われています。

しかし、検査で陽性判定されていないからといって感染していないとは限りません。症状が軽症であっても(あるいは無症状であっても)新型コロナウイルスに感染している可能性はあるのです。

したがって、少なくとも体調不良を感じている時には、診断や検査判定の有無にかかわらず、自己隔離するというのが「感染させない」ための正しい行動だということです4。さらに、新型コロナウイルスでは無症状感染者も多数いることを考えると、体調不良の有無に関わらずソーシャルディスタンスを確保するのが、現状下での正しい行動です。

就活生はどう行動すべきか

上記の行動原則を前提にしても、日本社会の現実は完全なロックダウンは行われず、一部の(というより多くの)企業活動は継続しています。そのような中では、集合型の説明会は中止されるとしても、直接対面する形の個別面接を行う企業もあるでしょう。そのような場合、就活生はどのように行動すべきでしょうか。

体調不良がない場合

自分自身に体調不良が全くない場合は、一応個別面接に行っても問題はないでしょう。しかし、良く考慮すべき点はあります。

上述のように、現時点では「無症状であっても自分が感染していることを前提に行動する」というのが正しい行動原則ではあります。個別面接に向かうというのはこの行動原則には反します。しかし、採用する企業側が訪問を要請している以上、採用されたいと考えている就活生からそれを変えることは難しいのが現実です。したがって、この場合は行動原則に反しても面接に行くという選択は致し方ないと言えるでしょう。

(尚、この場合、企業訪問時には必ずマスクを着用し、会社内でもマスクを着用し続けるようにしましょう。参考記事(非常にたくさんの人が読んでいます):面接でマスクを着用したままはダメ? ~ 新型コロナウイルスの感染予防と関連して~

ただし、このような状況下で「直接対面する」機会を増やす行動をする企業が、本当に就職するに値するかどうかは良く考える必要があると思います。直接会わなくてもWEB面接という代替手段もあります。にもかかわらず、外出自粛が要請されており「誰もが感染していることを前提に行動すべき」とされている時に、就活生に外出や直接の面談を強いるような会社は、他の場面でもどのような行動を取りそうなのかは想像ができるでしょう。

もちろんこれは企業の考え方の問題だけではなく、日本の政府・行政が発信する情報や社会全体の雰囲気などにも影響されていることです。しかし、社会的責任を重視し、また社員や顧客などの利益を重視する度合いがどれくらいなのかを測る物差しにはなると思います。

体調不良がある場合

例えば軽い風邪症状があるなどの体調不良がある場合は、面接に行くのはやめましょう。現在、軽い症状程度では、病院に行ったり相談ダイヤルに電話してもPCR検査をされる可能性はほぼありません。したがって、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを確かめる術はないのですが、それでも「感染している前提」で行動することが求められています。

新型コロナウイルス感染症は、軽症で済む人も、中には無症状で終わる人もいると多いと言われていますが、一方で持病を持っている人や高齢者にとってはハイリスクともなる病気です。したがって、たとえ症状が軽くても「感染している前提」で行動しなければ、自分が感染源となって他者を死に追いやる可能性があるのです。ですから、軽い症状がある場合であっても「自己隔離」するのが正しい行動です。

新型コロナウイルス感染症が拡大するまでは、多少の体調不良であっても大切な就活機会を逃さないように無理をする人も多かったでしょうしそれは理解できます。また、インフルエンザのように症状が出ればすぐに検査をしてもらえて感染の有無が確認できる病気であれば、他者への感染の危険性を判断することもできました。しかし、新型コロナウイルスに関しては、自分が他者に感染させる危険性があるかどうかを判断することが非常に困難となっているのが現状です5

体調不良をおして面接に向かえば、電車の中で多くの人に感染させてしまうかもしれません。また、面接に行った際の待合室や面接室において、他の就活生や採用担当者に感染させてしまうかもしれません。そこがクラスター化すれば、後日自分が感染源であったことが判明する可能性もありますが、そうなってから後悔してもどうしようもありません。

したがって、少しでも体調不良がある場合は、会社に連絡をして面接日の変更をお願いしましょう。「体調不良で万が一新型コロナウイルスに感染していたらご迷惑がかかると思うので日程を変更してください」とお願いすれば、採用側も応じてくれるはずです6。一般に面接日の変更を願い出るのは悪印象を与えるのではないかという懸念があるでしょうが、この状況下ではこういった連絡をしっかりと行える方が良い印象を持ってもらえる可能性もあります。現状下では、企業側も「体調不良の際は参加しないでください」といったアナウンスをしていることがほとんどですから、きちんと連絡をすれば良いのです。

平時の判断のままではダメ

これまでの内容をまとめると下記のようになります。

  1. 体調不良がない場合
    面接に行くことは構わない。但し、ソーシャルディスタンスを取ることが強く要請されている現状下で、直接対面を要求する企業の体質については吟味する必要がある。また、自分が潜在感染者であることを考えて、「感染させない」行動に配慮するかどうかは個人の考え方にかかっている。
  2. 体調不良がある場合
    面接に行くべきではない。簡単にPCR検査を受けることのできない現状では、意識として「自分が感染している前提」で行動することが求められている。企業に連絡をして面接日の変更を申し出るべき。

これらを前提にすると、この緊急事態宣言下において直接対面する面接を受ける機会というのはかなり限定されると思います。それは就活生にとっては非常に不安で苦しいことかもしれません。

しかし、自分が感染しないこと、他人に感染させないこと、同居している大切な人に感染させないこと、などを最も優先すべき時です。就活は確かに重要なことですが、命の方が大事です。

また、この非常事態の下で、各企業の持つ本質的な考え方や体質があらわになっているとも言えます。社会的にソーシャルディスタンスを保つことが強く求められている中、WEB面接などの代替手段を採ることなく「直接会う」ことにこだわる企業に対して、就活生側も冷静に評価を下すべき時期にあるのではないかとも思います。

ここでしっかりと押さえておくべきことは、新型コロナウイルス感染に対する不安に対して、社員である採用担当者だけでなく就活生に対しても安全を確保する義務を負っているのは採用を行う企業側にある、ということです。本来、採用担当者個々人の判断、ましてや就活生個々人の判断に委ねてしまうような性質のものではありません。

新型コロナウイルス感染症の拡大がいつ止まるのか、現時点では予想がつきません。また、この感染拡大を経験した社会が、その後どのような変化をするのかも簡単には予想できないでしょう。しかし、この危機に際して、社員や就活生、顧客など、企業に関わる人々を守るためにどのような対応を行う企業なのか、ということは、新型コロナ後の社会における企業の価値を左右するものだと言うこともできるのではないかと思います。

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  1. 現在のPCR検査体制は十分ではなく、検査実施基準の運用も相変わらず厳しいため、この暗数が非常に多い可能性は否定できません。 
  2. 13都道府県の陽性率は下記の通り(NHK調べ。参照:新型コロナウイルス PCR検査の「陽性率」 全国的に上昇か | NHKニュース)。※ 「-」はデータ非公開。
    地域     3/14までの平均    4/16までの2週間
    全国       6.2%         12.9%
    東京都      10%          56.1%
    大阪府      –           25.7%
    神奈川県     –           19%
    福岡県      0.5%          8%
    埼玉県      6.5%         17.8%
    千葉県      –           15.6%
    石川県      4.7%         19.8%
    京都府      2.7%         11.4%
    岐阜県      0.8%         11.9%
    茨城県       0%          5.9%
    兵庫県      10.3%         12.7%
    北海道      10.7%         10.7%
    愛知県      10.9%         9.4% 
  3. 自粛要請に応じた適正な補償・支援が行われているかどうかは別問題ですが。 
  4. これが正しいことがわかっていても、実際には、検査陽性が出ていないのに自己隔離を徹底できる人ばかりではありません。それは個々人の意識の問題もあるでしょうが、検査陽性でもないのに多少の体調不良ぐらいでは仕事を休むことは許されない、という職場で働く人もいます。しかし、このような事例の積み重ねが感染拡大を招いているのが現実でしょう。 
  5. もちろんこれは、新型コロナウイルス感染症のウイルスとしての特異性というよりも、感染症対策に関する政府・医療行政の対応に起因しているものではあります。 
  6. このような連絡に対して快く対応してくれない企業については、企業体質に対して疑問を持つべきでしょう。