面接の手応えはあてにならない

面接の合否フラグなど無意味

面接を受けて「手応えがあった!」と感じても、不採用になるということは良くあります。逆に「ダメだった…」と思ったのに採用になる場合も。

長年、就活や転職、公務員試験対策などをしている人間としては、ほとんどの場合、本人の手応えはあてにならないことを経験上知っています。

インターネット上では、「合格フラグ」、「不採用フラグ」に関する記事を良く見かけますが、正直これらの情報にどんな意味があるのか、私にはわかりません。実際の面接の場で、自分の面接に集中している人が「合格フラグ」や「不採用フラグ」を見つけられるとは思えませんし、見つけたとしても何の役にも立ちません。

個々の面接は、採用側の事情や思惑によって異なり、面接官の個性にも左右されます。仮に全く同じ質問がされたとしても、その回答への評価は異なるものなのです。したがって、面接官の反応で採否を判断することなどできません。また、それを気にすること自体が、面接通過にはマイナスにもなりうるものです。

終始和やかな雰囲気で面接が進んだとしても、それは面接官のパーソナリティによるものかもしれませんし、会社からの指示によるものかもしれません。逆に面接官が終始不機嫌であったとしても、それは面接官の個性によるものかもしれませんし、プレッシャーのある状況での反応を見るためのものかもしれません。

他にも色々と「フラグ」扱いされているものがありますが、いずれも全く信憑性はないものです。

手応えがあったのに不採用になる人のパターン

上記の「合否フラグ」のように、採用側の反応から不正確な手応えを読み取ってしまう場合もありますが、より深刻なのは、「うまくやれた!」という自己評価にもかかわらず不採用になるパターンです。

合否には運もあるので一概には言えませんが、「うまくやれた」と感じた面接で連続して不採用の結果になっている場合は要注意です。

このパターンに陥りがちな人には大きく分けて3つのタイプがあります。

タイプ1:話すのが得意だと思っている人

普段から人と話すのが得意で、初対面の人とも弾んだ会話ができている人に多いタイプです。

新卒であれば、アクティブで友達も多く、サークルなどでも人と接する役割を担っていることも多い人です。

既卒(転職組)であれば、営業職に多いタイプであり、普段から顧客とたくさん話し、それによって成果を上げている(と思っている)人です。

いつものように、たくさん話し、たくさん聞いてもらって、「普段通り自分の良いところを見てもらった」と手応えを感じたのに、不採用になってしまいます。

このタイプに当てはまるのは、たくさんの言葉を発し、早口であることも多い反面、話の内容が薄いのです。

普段のコミュニケーションにおいては、「無駄話」は重要な役割を担っています。「話が弾んだ」という場合に、有益な情報がぎっしり詰まっている場合は稀で、多くの無駄話で間をつなぎながら会話は流れていきます。これができることはある種の能力であり、その人の魅力でもあるのですが、面接になるとこれがマイナスに作用します。

顧客が営業マンが駄話をするのは、有益な情報を得る目的がある場合もありますが、単に社交であることの方が多いです。無駄話をしながら時間を共有することで信頼関係が醸成されていくわけです。私はこういうタイプの営業マンは好きではないのですが、用件しか話さない営業マンというのもなかなか見れるものではありません。

面接は限られた時間で自分という「商品」を売り込む場です。したがって、自分の強みやその根拠を説得的に伝える必要があります。単にコミュニケーションができれば良いのではなく、「効率的」にコミュニケーションをしなければならないのです。

したがって、普段話すのが得意だと思っている人でも、面接という場で回答するのが得意だとは限りません。状況に合わせた話し方ができないと、「言葉は多いが得られる情報は少ない」つまり、非効率な人と思われる可能性が高いのです。

タイプ2:情報の取捨選択ができない人

伝えたいことが多過ぎて、1つの回答の中にたくさんの異なる情報を入れ込んでしまうタイプです。

このタイプの人も、話すのが苦手だとは思っていないことが多く、だからこそ多くの情報を詰め込んで伝えられると思い込んでいます。そして、職務経歴書に列挙している過去の実績を全て説明したいという欲求が抑えられません。

しかし、なんのためにESや職務経歴書があるのかと言えば、面接だけでは知り得ない付加情報を得るためでもあるのです。たくさんの実績が書面に列記してあったとして、採用側は面接時に応募者がその中の何を選ぶのかに注目しているのです。「すべてが重要だ」と言いたい人もいるかもしれませんが、物事には必ず濃淡があり、重要度の違いがあるはずです。

それを意識して、自分を売り込むためにきちんと情報を取捨選択しないと、「メリハリのない人」、「神経質な人」、「コミュニケーションが非効率な人」という印象を持たれてしまいます。

相手に伝える情報が量的に充実しているかどうかが重要ではなく、情報の質や伝え方が問題であるにも関わらず、「たくさん伝えた」ことで手応えを感じてしまっていると、不採用を繰り返してしまう可能性があります。

タイプ3:雰囲気だけで押し通せると思っている人

「笑顔で元気よく話せた」、「にこやかに話していたら面接官も笑顔を返してくれた」など、場の雰囲気に関心が集中していて、その雰囲気によって手応えを感じるタイプです。

誤解して欲しくないのは、「雰囲気」が無意味なわけではない、ということです。面接は人と人の対面であり、「仲間に迎え入れたいか」を決める場でもありますので、能力・スキルなどだけでなく、応募者が与える「印象」も重要です。一般に、暗いイメージの人よりも明るいイメージの方が好まれますし、小さくなって消極的な態度を示す人よりも堂々として自信に満ちている人の方が好まれます。

しかし、これだけで採用になるほど甘い選考ばかりではありません。中身が問われていることを忘れないようにしましょう。これまでの経験からアピールできる強みはなんなのか、採用後には組織にどのように貢献できるのか等、効率よく説得的に伝えることが面接での中心的課題です。

雰囲気は大切ですが、それだけで乗り切ろうとするのは間違いです。

実践目標を定め、実行できたかどうかを考えよう

上に述べた通り、面接で「合否フラグ」を気にすることは無意味です。また、「できた!」という自己評価による手応えもあてにならないことがほとんどです。「不採用になる人のパターン」で述べたように、感じている「手応え」が大きな勘違いである可能性すらあります。

面接を受けた後に振り返るべきなのは、面接官の細かい反応などではなく、面接で実践しようと決めていたことをしっかりやりきったかどうかです。

面接は、企業によって、また面接者によって異なりますので、絶対的な「正解」はありませんが、どの面接でも通用するツボがあります。このツボを押さえた対策を行い、実践を振り返ることが、成功への近道です。

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