新型コロナの影響で内定取り消しになった場合に参考になる記事紹介

今日は、面接対策の話題ではありませんが、気になり始めたことがあったので記事にします。新型コロナウイルスによる企業の業績悪化に伴う内定取り消しについてです。

新型コロナウイルスの感染拡大はWHOがパンデミックを宣言する事態になっています。日本国内でも感染拡大は続いており、政府からの要請もあって、多くのイベント等で開催自粛・中止が拡がり、業種によっては営業を休止している企業も出ています。また、中国からのサプライに依存していたような業界では、納品ストップによって正常に事業継続できないところも出ており、インバウンド需要に依存していた業種などはかなりの苦境に立たされています。

今後、どれくらいの間影響が続くかは見通せませんが、一部の企業では経営危機に陥るところも出始めています。政府の対策で融資を受ける企業もあるでしょうが、先行きが見通せないことは大きく、その中で新たな借金をする決断をするのも難しい企業は多いでしょう。

このような新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化を受けて、内定取り消しについても報道されるようになってきました。現時点では、幸い弊社のご利用者からはそのようなご報告は頂いておりませんが、今後このような事例は日本中で増えていくのではないかと心配しています。

これは新規採用についてだけでなく、現在在籍している従業員の解雇を検討している企業も増えています。実際、体力のない中小企業の中には大量解雇に踏み切るような例も報道されてきました。

スーツの後ろ姿の写真

内定が取り消されると新たな就職先を探さなければなりませんが、時間的な余裕がない方は多いでしょう。場合によっては就職のために転居をした矢先で、家賃も払わなければならない、そもそも生活費をどうすれば良いのかなど、非常に大変な事態に追い込まれてしまう方もいるでしょう。それでも、「仕方がないこと」と泣き寝入りしてしまう方が多いことも想像します。しかし、一旦内定を出した企業が、いくら経営上の苦境にあるからといって、簡単に内定取り消しをして、就職者に全ての負担を負わせることがそう簡単に許されるものとも思えません。

そこで、内定取り消しをされてしまった方がとれる対応策を記事にしようと思いました。しかし、私は法律の専門家ではないのでしっかり調べないとな、と思っていた矢先、非常に参考になる記事を見つけました。労働問題に詳しい佐々木亮弁護士のタイムリーな記事です。

新型コロナによる<景気悪化>で内定取り消しされた場合の留意点(佐々木亮) – 個人 – Yahoo!ニュース

この記事の中で私が重要だと思った点を下記に抜粋して引用させて頂きます。

まず、「景気悪化」を理由とした内定取り消しが常に有効とは限らず、無効となるとすれば企業側に請求できる内容についてです。

(前略)

企業が内定を取り消すためには、内定取り消し事由が、客観的に合理的なものであること、そして、社会通念上相当として認められるものである必要があります。

具体的には、内定時に会社が知ることができなかったような理由で、かつ、それが業務に影響を与える場合、そして、それらを理由に取り消しても、社会的にも相当であるという場合です。

(中略)

もし、客観的に合理的でもない理由での内定取消や、社会通念上相当として認められない理由で内定取消が行われた場合は、その取り消しは無効となります。

(中略)

内定取消が無効となる場合、求められるのは、おおむね次のものです。

1. 労働契約がまだ存続していることの確認
2. 本来払われれうはずだった賃金
3. 慰謝料などの損害賠償請求

(後略)

新型コロナによる<景気悪化>で内定取り消しされた場合の留意点(佐々木亮) – 個人 – Yahoo!ニュース

次に、「内定取り消し」ではなく「内定辞退」を事実上強制される可能性があるという注意喚起です。実際には、このパターンの方が多くなりそうな気はしますので、知っておいた方が良いでしょう。

(前略)

内定取り消しは簡単にできないので、これを行うには会社側にリスクがあります。

そこで、悪質な企業では、内定者に、内定を辞退するよう迫る場合があります。

内定者が、真の意思で辞退したというのであれば問題はありませんが、内定者の自由な意思に反して、内定辞退を迫る場合は、ケースによっては内定辞退の強要となり、それ自体が違法行為となります。

大事なことは、会社に内定辞退を迫られても、内定取消の同意書や辞退を申し出る書面などに、絶対にその場でサインしないことです。いったんサインしてしまうと、後々争うのは非常に難しくなりますのでご注意ください。

(後略)

新型コロナによる<景気悪化>で内定取り消しされた場合の留意点(佐々木亮) – 個人 – Yahoo!ニュース

ニュース映像で内定取り消しになった方のインタビューを見てとても心が痛みました。ショックははかりしれないと思います。

もちろん、企業としても既存の従業員の雇用維持も厳しかったり、事業存続自体がピンチに陥ったりしているという現実に直面している場合もあるでしょうから、その事情によっては内定取り消しが必ずしも不当とは言えない場合があるのはもちろんです。ただ、自分が内定取り消しになった場合に納得できない気持ちを抱えたまま前に進むのは難しい場合もあるでしょう。また、目の前の生活・お金の問題をクリアしないといけない場合もあるのではないかと思います。そんな時には、今回紹介した記事は参考になると思います。記事の中には相談する場合の連絡先リンクなどもありますので非常に有用な記事だと思います。労働者側に立って労働問題解決に尽力されている弁護士の方には頭が下がります。

偉そうなことは言えませんが、人生には思わぬ事が起きます。なぜ自分がこんな苦境に立たされなければいけないのかという想いを乗り越えるのは大変です。ただ、新型コロナウイルスの問題がなかったとしても今は先行き不透明な時代です。未来のことは誰にも予想できませんから、もし内定取り消しにならずその企業にそのまま就職していれば必ずしも明るい未来が待っていたとは限りません。新型コロナウイルスの影響で真っ先に倒れていく企業は、厳しい言い方をすれば元々体力のなかった企業だとも言えます(すべてがそうだとは言いませんが)。将来の危うい企業に就職しなくて済んだと考え方を切り替えることも必要かもしれません。

そして、投げやりになることなく、前向きに新たな就職先を探しましょう。採用側も事情を汲んだ上で対処してくれる場合もあると思います。どうか現在の苦境に圧し潰されることなく、何とか前向きに進んで行っていただきたいと切に願います。

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