就活・公務員試験に新型コロナが与える影響と対処方法

新型コロナウイルス感染症が拡大しています(2020.3.31現在)。状況は深刻化しており、抑制された検査数の中でも、毎日多くの感染者が判明しています。対策可能なクラスターの発覚よりも、リンクの追えない感染者が増加していることが、事態を全く楽観視できないことを示していると思います。

このような状況下で就活生(あるいは公務員受験生)は不安な日々を送っていることと思います。この記事では、新型コロナウイルス感染症が就活や公務員試験に与える影響と、就活生・受験生が考えておくべき対処についてまとめようと思います。

大前提:感染しない、感染させないことを優先する

就活や受験は大切です。しかし、それよりももっと大切なのは、自分や自分の大切な人たちの命や健康です。そのことをまず最初に書いておきます。

新型コロナウイルスに感染しても、軽症で治癒する人、症状が出ない人も多いと言われていますが、全員がそうではありません。若い人は比較的重症化しにくいとも言われていますが、多くの例外も報告されています。したがって、まず自分自身が感染しないことを優先して行動することを心がけましょう。特に基礎疾患を持っている人は良く良く注意することが必要です。

また、自分自身は軽症でおさまったとしても、他の人に感染させる可能性もあります。特に家族と暮らしている人は、自分自身がウイルスを持ち込み大切な人たちに感染させる恐れについては常に自覚しておきましょう。

繰り返しますが、就活や受験がいくら大切なものであっても、自分や大切な人たちの命には代えられません。大切な就活や受験のことで頭がいっぱいになることはあるでしょうが、自分や大切な人たちを守ることを常に忘れず、それを優先して行動しましょう。

新型コロナが就活や公務員試験に及ぼす影響と対処方法

ここで、就活や公務員試験に対して、現時点で考えられる新型コロナが及ぼす影響を挙げておきます。

  1. 企業説明会、採用説明会の中止
  2. 採用選考日程の大幅な変更
  3. 採用選考方法の大幅な変更
  4. 先輩社員・職員との接点減少
  5. 大学キャリアセンター・予備校等の利用障害
  6. 一部企業業績悪化による採用計画の見直し

これらの影響と対処方法について説明していきましょう。

企業説明会、採用説明会の中止

影響:中止は今後も続く

既に多くの会社説明会が中止となっています。就職支援会社などの行う合同説明会はほとんど中止となり、個別企業が実施を予定していた会社説明会も多くは中止となっています。3月上旬に「4月の実施は状況を見て判断」するとしていた企業の多くは4月の実施も中止しているところがほとんどです。

エントリーする企業の情報を得る機会が減少するのではないかと不安に感じている就活生も多いでしょう。また、説明会参加がエントリーの条件になっていたような場合も不安を感じることでしょう。

尚、公務員試験における採用説明会は元々参加必須ではありませんので、あまり深刻な影響はないと思います。

対処方法:WEB説明会などに参加

合同企業説明会に出展予定だった企業の多くは、就職支援会社の提供するシステムを利用してWEB説明会やWEB面談など、代替措置を採用していますので、リクナビやマイナビなどの就職支援会社のサイトで関心のある企業をピックアップして情報を入手しましょう。

また、個別企業の会社説明会も多くはWEB説明会に切り替えられています。採用情報をこまめにチェックして確認しましょう。尚、個別企業のWEB説明会については、期間中いつでも見られるものと、LIVE配信時にのみ参加できるものがあります。このような情報もきちんと把握しておきましょう。

採用選考日程の大幅な変更

影響:日程自体の変更(後ろ倒し)も相次ぐ

採用選考日程の変更も相次いでいます。上記の企業説明会中止以外にも、試験や面接の実施日程を変更する企業も多くなっています。

試験や面接はいわゆる3密(密閉空間・密集場所・密接場面)となってしまうことが想定されるため、感染拡大フェーズにある現状では、従来通りの実施が難しくなっており、多くの企業が日程変更(後ろ倒し)を行っています。

尚、公務員採用試験については、一部採用試験を一時中止したものがあります(例:警視庁第1回警察官Ⅰ類採用試験1次試験の延期)。5月以降本格化する1次試験日程も予断を許さない状況です。

対処方法:就活サイトの徹底活用等

まず、日程変更などの情報収集が先決です。エントリー(予定)企業がウエブサイトなどで行う情報発信を定期的(1日1回程度)にチェックするとともに、就活サイトでの情報収集も怠らないようにしましょう。日程変更に応じてスケジュールを立て直す必要も出てきますので、面倒くさがらずに注意を払いましょう。

尚、公務員試験についても、感染拡大の状況によっては、今後も日程変更その他の配慮が行われる可能性はあります1。こまめに情報収集を行い、併願作戦などに影響がないか常にチェックをしておきましょう。

採用選考方法の大幅な見直し

影響:WEB面接などの導入が進む

企業説明会をWEB実施に切り替える企業は大きく増えていますが、その他の選考プロセスについてもWEBを使ったオンラインで実施する企業が増えています。

筆記試験のオンライン実施、集団面接・個別面接のオンライン実施、動画選考の実施など、これまで一部の企業でしか行われていなかった選考形式が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一気に普及している状況です。

対処方法:WEB面接特有の対策なども行う

WEB面接などに切り替えられたからといって特に身構える必要はありません。基本的な対策は直接会って行う面接などと変わりません。ただ、機材の準備や実施時での留意点など、特に気を付けるべき点はいくつかありますので、下記の別記事を読んで対応してください。

参照:・ 就活への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響 ~オンライン面接まで想定しておく~

Skype等でのWEB面接(オンライン面接)における注意点

先輩社員・職員との接点減少

影響:直接対面するOB・OG訪問は減少

企業が社員に対してOB・OG訪問を積極的に受けないように指示を出している場合もあると思います。また、リモートワークへの切り替えが進んでいる一部企業においては、直接対面する形でのOB・OG訪問はできないでしょう。

対処方法:WEB面談などの活用

直接会ってもらう形は難しくなっていますが、その反面、スカイプなどを使ったオンラインで面談の機会を得やすくなっている状況だとも言えます。従来型の方法が難しくても代替手段について問い合わせをして積極的に動けば良いのです。特に、リモート―ワークへの切り替えが進んでいるような企業では、このような方式に対応しようとする就活生に対しては良い印象を持つでしょう。

大学キャリアセンター・予備校等の利用障害

影響:キャリアセンター等の業務一部停止等

大学によって異なりますが、一部の大学では長期間の休校措置を行っていたり、大学施設自体の閉鎖を行っていたりします。これに伴いキャリアセンターや就職課が業務の一部を停止しているところもあります。また、施設が開いているような場合でも、感染拡大防止のために資料室利用が制限されていたり、個別面談による相談予約を厳密にして接触を減らす工夫が行われていることも多いようです。

公務員受験予備校なども、各校対応はさまざまですが、講義やサポート提供方法に変更が生じている場合もあります。

対処方法:より積極的な活用を

大学によって就職支援は、大学経営に直結する重要業務の1つでもありますから、学生を支援しようとする姿勢・意欲は変わりません。ただ、感染防止の観点から注意すべき点があるので、通常とは異なる対応になっていることは理解する必要があります。そこで、利用方法なども含めて積極的に電話やメールなどで相談をしてみましょう。

特に、採用選考日程などの変更を余儀なくされている企業としても、キャリアセンター等への情報提供は積極的に行っているはずですから、就職課・キャリアセンター職員の方々は有益な情報を持っている可能性は高いと思います。

予備校については、各校によって対応は異なると思いますが、休講やサービス中止などの措置は直接売上減、返金等に結びつくため、通常業務を続行する動機は強いと言えます。普段と変わらないサービスを受けられる可能性は高いでしょうが、その分、感染リスクについては自ら良く考えて行動する必要はあるでしょう。

一部企業業績悪化による採用計画の見直し

影響:一部業種では採用減などはありうる

新型コロナウイルスの感染拡大は経済活動に甚大な影響を及ぼしています。まず内需型の小売業やサービス業では、外出自粛・営業自粛などの影響が直接業績に影響しています。また、製造業などでも中国からのサプライ停止などの影響でライン停止なども生じています。感染拡大の影響が長引くほど影響を受ける業種や企業数は拡大していくことでしょう。

新型コロナの影響は数カ月前までほとんど誰も予想していなかったことである一方、その影響はリーマンショックを大きく超えることが予想されています。したがって、当初予定していた採用計画をそのまま実施できない企業も今後増えていく可能性は高いでしょう。

対処方法:情報チェックと柔軟性のある方針を

採用予定数の大幅減、採用自体の取りやめなどの大きな変更を行う企業も増える可能性はあります。影響の大きそうな業界を目指している人は常に情報をチェックし、就活方針の見直しなどを随時行うことが必要です。場合によっては、想定していなかった業種も検討する必要があるかもしれません。

しかし、特定の業種に限らないで全体を見れば、企業の採用意欲自体はあまり下がってはいないようですので、あまり悲観的になる必要はありません。

悪い事ばかりではない。前向きに対処を。

就活や公務員試験にも新型コロナウイルス感染症の影響は拡がっています。就活生や受験生の中には「なぜよりにもよって自分が就活の時に…」と気分が落ち込んでいる人がいるかもしれません。

しかし、この影響は必ずしも悪いことばかりではありません。WEB説明会やWEB面接の拡がりによって、就活にかかる時間や交通費の大幅な節約になる場合もあります。これによってエントリーできる企業数が増え、自分の可能性を広く試せる可能性も出てきます。さらに、人が集まる場で緊張してしまうような人は、WEB面接によって普段通りの実力が発揮できる可能性もあります。

また、このような非常事態に際して、企業側がどのような対応をしているのかを観察すれば、本当に就職すべき企業なのかどうかを確認できる可能性もあるでしょう。社員の健康に対してどのような姿勢を示しているのか、非常時における事業継続についてどのような準備をしているのかなど、普段だとわからないことがわかり、企業選択の目安にできるかもしれません。たとえば、企業訪問時におけるマスク着用一つとっても、その会社が社員や顧客に対してどのような姿勢を持っているのかを見ることはできるのです(参照:面接でマスクを着用したままはダメ? ~ 新型コロナウイルスの感染予防と関連して~2

最も大切なことは、情報収集と積極的なアクションです。新型コロナの影響で社会全体の活動が停滞している今、感染防止に十分配慮しながらも積極的に活動しようとしている就活生に対して、採用側も決して無碍な対応はしないはずですし、むしろ好感を抱いてもらうことに繋がると思います。

面接対策案内へのリンクバナー


  1. 2020年3月10日付で、総務省より各自治体人事委員会等宛てに、職員採用における新型コロナウイルス感染症への対応について通知が出されています(総務省「地方公共団体の職員採用における新型コロナウイルス感染症への対応について」)。したがって、今後日程変更なども含めてアナウンスされる可能性はある程度高いと思われます。 
  2. 面接時の「逆質問」で「御社は新型コロナウイルス感染に関してどのような対策をしておられるのですか」といった質問をする、ということが(Twitterなどで)話題になっていますが、私見ではあまりこのような質問は推奨しません。逆質問は企業側を「試す」ような意図で行うのではなく、実質的にはこちら側の意欲を表現する機会として利用すべきだと考えるからです。もちろん、自己責任で「ブラック企業かどうか」を確認するためにしてみるというなら止めませんが、「面接通過」を主目的としている弊社としては推奨できないということですからご理解ください。