面接のアドバイスは誰でもできるのか

面接対策として有効なのは模擬面接です。もちろん、ある程度の想定質問に対する回答を準備しておくことも有用ですが、面接は会話によって進む選考ですから、実際に回答を話してみるという練習は非常に意味のあることなのです。

さまざまな模擬面接

多くの方が、何がしかの形で模擬面接をしたことがあるでしょう。就職課・キャリアセンターなどの職員の方を相手に、あるいは、公務員予備校の講師や教務スタッフを相手に、場合によっては友人を相手に行うこともあるでしょう。元採用担当者だったという方にお願いできる機会もあるかもしれません。

アドバイスをする人の問題

模擬面接をしてアドバイスを受ける相手が誰なのかによって面接対策としての効果は異なりますが、それでも多くの場合、やらないよりもやった方が良いだろうと思います。いざ面接形式で質問をされると、自分が思っている以上に話せないこともあり、また、話せたとしても伝わりにくい話し方をしてしまうこともあるからです。面接をシミュレーションするということには多少の意味があります。

ただ、模擬面接をした後に、アドバイスをする人の資質によっては、あまり有効な対策にならない場合もあります。時にはマイナス効果になってしまう場合も。ですから、模擬面接をした後に受けるアドバイスの受け止め方については、自分なりの距離感をもっておくことが大切です。全面的に信用するのか、自分で納得できるものだけを取り入れるのか、多少の参考程度にとどめておくのか、などです。

友人と模擬面接をする

友人に面接を見てもらうということは良くあることですが、この場合大きな弊害は生じないことが多いでしょう。単なる友人という立場で応援する姿勢で面接を見てくれる人は、自分自身がそれほど面接についてアドバイスできる人間だとは思っていないことが多いため、「気づいたこと」を伝えてくれるだけで、固定した「考え」をもってアドバイスをしてくることは少ないからです。

「ちょっと早口で聞きにくいなあ」とか、「こっちをあまり見ないのは印象が良くないかも」とか、そういう人として感じる感覚でアドバイスしてくれることが多く、それは概ね参考になるでしょう。「ここの回答はよく意味がわからなかったよ」とか「ここの回答は長すぎて聞いているのがしんどかったなあ」などというアドバイスも意味があります。

2人で相談している写真

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就職課・キャリアセンターなどで模擬面接をする

大学の就職課やキャリアセンターでは多くの場合模擬面接をしてくれます。担当してくれるのはほとんどの場合就職課の職員の方ですが、就職課から委託を受けている予備校などの講師が対応する場合もあるでしょう。

就職課の職員の方々は多くの学生を就職に導いており、「この学生は連戦連勝だった」「この学生は内定がなかなか出なかった」といったことを肌で感じている方もいます。内定がなかなか出ない学生の相談に応じて面接練習をした経験があることも多いでしょう。ですから一定の「基準」を持っていることもあると思います。したがって、担当してくれる職員の方次第では有効な対策になるでしょう。

ただ、これら職員の方々の主要な仕事は模擬面接ではありませんので、面接指導のスキルを上げるような研修が行われていることはほぼありません。たまたま指導上手な方に当たればラッキーですが、そうでない場合があるのも事実です。

賢明な就職課は、このような面接指導を専門の予備校などに外注していることも多いです。ご自身たちの面接指導の手間もあるでしょうが、それよりも面接対策が片手間でできるようなものではなく、一定の専門的スキルをもって指導する必要があることを理解しているのです。もちろん、外注するのですから費用は発生していますが、その分、結果・実績については大学側がシビアに評価します。したがって、講師を派遣する予備校としても下手な指導はできないのです。このような場合は、「面接対策ガイダンス」や「面接対策講座」などの集合型講義と、「個別面接指導・模擬面接」といった個別指導を組み合わせて提供されることも多く、積極的に利用した方が良いでしょう。

私自身もこのような契約を大学と交わし、講義や個別指導を行ったことは多数あります。講義などを行ってみると、筆記対策の講座などよりも大学別の学生さんのカラーが色濃く出てとても楽しいものです。面接対策は個別性の高いものなので、最終的には個別指導をする必要があり、学生数が多い場合は体力的にもキツいものでしたが、その分やりがいもある仕事です。

熱心な就職課の職員の方は、講義や個別指導の様子を見学して、ご自身の面接指導スキル向上のために活用されている方もおられました。

ただし、ちょっと厄介だなと思うようなこともあります。それは面接指導をすることが大好きな職員の方が、強い思い込みの下に面接対策を学生に対して行っているような場合です。やたらとマナーや話し方に厳しく何度もやり直しをさせる一方、内容については大ざっぱな指導しかしてくれないという方も実際にはおられます。学生想いなところはとても良いのですが、対策としては不十分ということもありえます。しかし、こういう方は一過言持っているので、なかなか修正は効きません。

公務員・就職予備校などでの模擬面接

コース受講生限定で受けられる模擬面接を実施していることが多いものの、単発で受けられる模擬面接を行っているところもあります。受講生フォローとして行っている模擬面接は、予備校の講師が担当するものもあれば、教務スタッフが担当しているものもあります。

講師が行うものと教務スタッフが行うもののどちらが良いかは一概には言えません。講師が行う場合でも、ほとんどの場合は面接指導を専門にしている講師ではなく、他の筆記対策などを中心に出講している人が担当している場合が多いのが現実です。面接指導が必要となる時期は限られているため、それだけで雇われている講師はごく稀だからです。この場合、筆記対策の講義では有能でも面接指導はうまくない人がいることには注意が必要です。また、教務スタッフが担当する場合でも、だからといって質が低いとも限りません。実際には講師以上の多くの受講生の面接指導を経験してきて非常にスキルの高い人も中にはいるからです。ただし、これも人によってスキルレベルに差があることには注意が必要です。

面接の指導についてのスキルを平準化するのは容易ではなく、実際多くの予備校ではそのようなことは行われていません。その結果、同じ予備校で異なる人に面接指導を受けると、1人からは高評価を受けているのに、もう1人からは低評価を受けるということも少なくありません。したがって、誰を信頼するのかを選ばなければならないというのは、予備校でも生じることです。

元人事・採用担当者との模擬面接

弊社のように面接対策を提供している企業・予備校などでは、指導講師の履歴で「元人事担当」といった言葉が躍っていることが良くあります。実は私もプロフィールには採用担当者を経験していたことを書いています。しかし、これはあまり重要なことではありません。

人事担当・採用担当というのは、あくまでも特定企業内での経験に過ぎず、選考基準などは企業によって異なるからです。さらに、採用にはその時々の企業側の事情があり、評価の力点が年によって微妙に異なる場合もあります。ですから、「元人事・元採用担当者」といってもその経験は 1/n に過ぎないのだということは知っておいた方が良いでしょう。

もちろん、人事として社内における評価基準を確立し、標準化したような経験のある人もいるでしょうし、複数の企業での経験がある人もいるでしょう。しかしそれも 1/n が 2/n 、3/n になるだけです。

私見を言えば、「元人事」「元採用担当」といった経歴自体は、面接指導スキルを判断する上ではあまり役に立たないものだと思います。

どのような採用先・どのような面接官でも面接選考を通過できることが大切

模擬面接の面接官役を引き受け、模擬面接後に何がしかのアドバイスをすることは誰にでもできます。面接は人が主観的に感じる「印象」によっても評価が左右されるものですから、誰でも何かは言えるのです。話し方や表情だけでなく、回答内容についても「自分の理想」とかけはなれているといくらでも「難癖」をつけることができます。

こういったアドバイスが全く無意味だとは言いません。その中には実は的を射ているようなものが含まれている場合もあります。しかし「ここの回答は矛盾しているから大問題だ」などといった指摘が、実は面接では何ら問題にならないような点であることも少なくありません。面接に人間の主観が影響するからといって、面接対策も個々人の主観に左右されて良いわけではないのです。

面接選考の基準は不透明なものです。採用活動における選考基準などの標準化を進めている企業もありますが、一切の主観を入れない面接評価はありえません。企業・組織ごとに考える人材価値はそれぞれ異なり、求めるパーソナリティも違います。また、同じ基準で評価をしようとしていても、担当する面接官によって評価にばらつきが出てしまうのも避けようがありません。

このような現実からすれば、採用側がどのようなものかという「像」を一定予想した上で、どのような面接官に当たっても一定程度以上の評価を得られるように対策をしておくことが大切です。それは単に当たり障りのない「守り」の面接をすることでは決してありません。「攻め」て加点を目指しながらも、誰からも減点されない方法を目指すことが大切です。また、それがご自身の履歴・能力や性格などから無理のないものである必要もあります。面接対策は「嘘」を築き上げるのではなく、自分自身から始まってより効果的に「自分」を表現できる方法を身につけていくものなのです。

これを実現するためには、多数の経験による裏付けと、対面してその人から良さを引き出せる瞬発的洞察力・言語的能力が必要だと個人的には思います。

さまざまな方と模擬面接をすることは否定しませんし、むしろ色々やってみるのは良いことだと考えています。ただ、本当に効果のある面接対策をしたいなら、やはりプロの面接指導を受けることをおすすめします。